藤井風を語る真夜中

風という病に侵され…語らせたまえと願った。

『きらり』はラブレター

藤井風の曲はダブル・ミーニング、トリプル・ミーニングが当たり前で、端正な構成の中に柔らかな言葉を躍らせ、非常に奥深い世界へ我々を誘ってくれる力を持つ。

解釈のポイントを教えてくれることもあるが、基本的には自由な、聴く人に任せてくれる音楽だと思う。

その風の大らかさに甘えて、『きらり』の歌詞を自分なりに解釈してみたい。どういう解釈が定番なのか、全く承知していないけれども。不快な部分があったら申し訳ありません。

何度聴いたか分からない俺だけど、聴けば聴くほど、この曲の真意は「風からずっずさんへの返歌」という気がしてならない。

いや、本歌をずっずさんが歌ってるわけは無いので、厳密には返歌(アンサーソング)とは違うが、きらり一曲の中に本歌と返歌があると俺は思うのだ。つまり、この曲は、ずっずと風の掛け合いソングなのだと。

 

巡り会うべきふたりは、それまでの日々を一人きりで歩き続けて来た。

岡山駅で初めて会った時、互いを見てどう思ったのだろうか。俺は、互いに一目惚れだったと思う、マジで。風を目の前にしてズキュンしない人間はいないと思うし、ずっずさんも風が初めて見た “カッコいい大人” (おとん様を除く)だったはず。

ずっずさんが東京弁じゃなくて良かった。都会っぽいクールなビジネスパーソンじゃなくて良かった。このふたりの相性が良かったことが、我らの幸せの第一歩。ホントに。

そのまま実家まで一緒に行き、「息子さんを私に(預けて)ください!」とご両親にお願いしたのではないだろうか。実質結婚の申し込みか。

色んなタレントを見てきた、芸能界のトップランナーを何人も見てきた自分だけど、私は君がいいんだ、とずっずさんは風に言ったのでは?

“あれほど生きてきたけど”  英詞でも “long”と書いていて、20代前半の視点だとすると違和感があった。でもずっずさん目線からの詞だとすれば納得。

長いこと芸能界で魅力的なタレントたちを見てきたけど、君がいいんだよ。と言われて、風はその思いを受け取った。また、色んなところから声掛けのあった風も、他の誰でもなく、ずっずさんがいいと決めた。you're the only one for me…これはきっと互いに受け止め合った言葉。

 

アフタートークで、“動機は愛がいい” についての思いを語ってくれたのに、その時はこの歌詞全体が、ずっずさんとの絆を歌ったものだとは思わなかった。今は、一行一行が、全部ずっずさんと風の会話に聴こえる。

歌詞の一部がマネージャーを思って生まれた言葉なら、全体もそうだろうと思うのが普通だよね。

風は、ずっと自分を導いてくれる人を探してた。どこにいたの、探してたよ。やっと現れてくれた人に、連れてって、何もかも捨ててくよ、どこまでも、どこまでも。

息せき切って来たの、行き先は決めたの、迷わずに行きたいけど保証はしないよ…。

一行ごとに胸が詰まる。 東京へ飛び出した風の不安が胸に迫る。けど、ずっずさんを信じて良かった。何もかもイチから教えてもらえたことへの感謝と、新しい世界を体感している歓喜。何も分かってなかったことを知ったのは、何という幸運だろう!

新しい日々は、探さなくてもふたりが一緒にいる、ここにある。always here with us …us は尊い言葉。

 

荒れ狂う季節があっても、群衆の中で悩まされたり立ち止まる日があっても、君とふたりならば、どんな困難もさらりと越えて行ける。

この目がきらりと輝いていられるのは、君の姿が映っているからだ。君が映る目だから、この目もきらり。ふたりなら永遠にきらり。

 

BTSでも、風の美しい横顔が見られたけど、あの瞳がキラキラしていたのは、ずっずさんが映っていたからだよね。父のように兄のように慕う大好きなマネージャーが目の先にいたから。互いに『きらり』なふたりが、ずっと互いを映し合えるようにと願うばかり。

 

恋愛感情とは違うにしても、限りなく深い絆を歌った曲。もし俺がこの曲をおくられたとしたら、愛おしさと責任感とでガチガチに固まる。ずっずさん、相当な決意を迫ってるよこの曲は。

ずっずさんへの感謝を込めたラブレターにも似た曲だと思う。そして、ふたりでどこまでも走り抜く、どうなろうと最後にはふたりで笑いたい、と誓っている。

 

もちろん、普通に男女のラブソングにも聴こえるし、語りかける相手が「車」であるようにも聴こえる。カッコいい車を手に入れて、車に連れてって🎵と歌うのだとしてもステキだ。

ホントに、よくこんな曲を生み出せるなぁ。さらりと聴こえるのに難しくて、いくつも仕掛けがあって。

ヤッフルさんのアレンジも、風が絶賛する通りに素晴らしい。2番になりカリンバ(かな? 違ったらゴメン)が入ると、音が水玉のようにキラキラと跳ねる。一気にみずみずしさが増して、MVではその中で踊る風たちが見られる。目も耳も至福。

 

BTSを見て改めて感じたのは、各セクションのスタッフさんの凄さ。ひとりひとりが最高!と風は心から実感しているのだと思う。

俺が特に感じたのは、ライティングスタッフの働き。重そうな機材を背負って、巨大なライトを吊りながら光を当てる。あんな大きいライトで照らさないと逆光には勝てないんだ。CGのシーンでも、強い光源の前でパネルやらを振り回して、日差しの揺らぎを作る。あれだけの光源があればこそ、バイクシーンの光と影を表現できるのか。何とも重労働。ライティングスタッフ万歳! 他のスタッフも万歳!

 

セイヤさんのイタズラ心が現れたのが、キヨシさんが横断歩道の端に立っているシーン。あれ?キヨシさんの後ろにも長い影がある?と思ったら、ひらりと白い衣装が見えて。ビックリした。後ろにキレイに重なるなんて! 絶妙な位置から映して、楽しませてくれた。

風を下から映しながら「逆光が超キレイ」「きらりしてる」と声かけ。そんなん、女優に言うセリフやん! でもさすが風、「まじで」とすぐ女優演技を。ふはは!ホンマ面白いな〜。カメラマンさんにもサービス精神満点。

 

楽曲もMVも、大勢の協力と努力が無ければ、形にならない。チームのみんながどれほど尽力してくれるかを知っているから、風は全員に深く感謝する。

曲のためであり、風のための作品であるけれども、第一には自分の仕事。良い作品が出来れば、自分自身の誇り。それでも、その仕事の真ん中にいる人が藤井風である現場は「いい現場」だろうな、と思う。

 

そんなあらゆる環境を整えるために戦っているのが、ずっずさんだと俺たちは思っている。

ずっずさんとコバさんがいてくれるから、日々を安心して暮らせると言っても過言ではない。風民からのこの愛に満ちた圧力…すんまへんな。

そんなずっずさんと風の絆を感じさせてくれる『きらり』、俺にとって益々大切な一曲になった。