3. 『Heal The World』
今回唯一のcoverが、MJのこの曲。「MJが生きていたら、今の世界に対して何を歌ったじゃろうと考えて、この曲を選んだ」と語っていた。『きらり』の次にこの曲を持ってくることで、このLIVEの意味・意義を示したのだと思う。
世界を癒やそう、より良い世界にしよう。君と僕のため、みんなのために。このメッセージは、そのまま風っちの願い。繊細な高音がMJを思わせ、ピュアなピアノの旋律が我々の心を包んでいく。いずれ、藤井風がこのような曲を生み出し、それが世界で歌い継がれていく未来が見えた気がする。すでに風っちの内には、もうこの曲の魂があるんだから。受け継ぐ覚悟があるんだから。
4. 『燃えよ』
ここで新曲。「ちょっとダサいくらい、ストレートな曲。わしが無気力とか落ち込んだように感じとる時に、これくらい真っ直ぐで力強い曲があってもいいんじゃないかと、自分が必要としていたような曲。みんなも必要としてくれてたら嬉しい」
楽しみにしてた新曲、めちゃくちゃいい曲だった! 初披露なのに、いきなりピアノアレンジで聴かせるという、藤井風ならではの技。
LIVE後にリリースされた音源を聴くと、これまたヤフさんアレンジの華麗なこと。 いや、このふたり凄いわ。改めて天才2人組。真っ直ぐで骨太な風っちの曲が、軽く緩く遊ぶようなヤフさんの都会的アレンジでポップな魅力を纏う。その芯には確固たるものがある。硬さと柔らかさのバランスが絶妙。
裸足で踊る男女が見えた。翻るスカートの裾も。ラテン乗りというか、ピアノアレンジとはまた別物のゴージャスでゴキゲンな曲に仕上がっていた。おかげで、LIVEのピアノによる演奏が、めっちゃレアで貴重なものとなった。
転調してからの歌声がカッコいい。風っちの若さが爆発してた。
「燃えよ」と「もうええよ」をかけていて、そのまま「もうええわ」に繋がっている。言葉遊びでもあるけれど、俺らの人生、燃えるために「もうええよ」ってものを捨て、どんな自分でも恥ずかしがるな、肯定していいんだと歌う。
『明日なんか来ると思わずに燃えよ』風っちは、その決意でLIVEに臨んだと思う。雨をはじき、あらゆる限界をはじき、スタジアムの天空からのショットのように世界を俯瞰しながら、全身全霊を燃やして歌っていた。
歌詞にもあるように、風っちは新しく生まれたのかも知れない。老成した仙人のようでもある彼が、生まれたての赤ん坊のように、また新しい世界観を見せてくれた。若さに溢れたこの曲に、どれだけ引き出しがあるん?と目を見張る思いがした。
しかしさ、Nキャスで紹介するなら、普通はこの新曲だよね。何なん、MJ推しって。ひとっことも宣伝がないTV出演。ホントにもうこのチームは。泣くほど好きだ!w
5. 『もうええわ』
ラップをぶち込んで来た!あははは!藤井風無双。テクニック全開、できないことなんかないもんコノヒト。
歌い出しから若い声。アレンジも瑞々しく、オリジナルのMVからは10歳くらい若返ったよう。
歌うの大変だよね、というアレンジ。これを歌い切る風っちの歌唱力に感嘆。りょんりょん先生とどんなレッスンしてるん? めっちゃ興味津々。笑
段々と雨音が強くなる。びしょ濡れ鍵盤に慄きながら、それでも力強い演奏に見惚れる。弾き切って立ち上がると、なぜかテクテク歩き出した。
6. 『優しさ』
歩き出してどうするん? と思う間もなく、アカペラで歌い出したよおい! 度肝を抜かれた。
少しでも観客席に近づこうとするかのように、四方に歩きながら、走りながら歌う。エムスラの谷田さんが言っていた「声量の安定感」ってこのことか。走っても声が変わらない。豊かな声量を惜しみなく会場中に捧げて、中央のピアノに戻ってきた。途中、ちょっとしゃがみ込んだのは何なんw。一瞬イタズラっ子の顔して。
こういうパフォーマンスをすると、変に高揚してハイになる人もいるけど、風っちは常に平常心だな、と見ていて思う。ちょっとだけ面白がってもいる。
本来なら、大歓声が沸いただろうな。圧倒的な歌唱力に射抜かれて、観客は熱狂したに違いない。そのみんなの姿が、風っちには見えていた。いや感じてくれていた。
きっと伝説になる『優しさ』のパフォーマンスだった。歌声にも演奏にも激しさを感じた。これもまた“若い”藤井風による表現だったと思う。
ここまで書いて、LIVE前と当日のドキュメンタリーが!は? 昨日のコトなんすけど!仕事早過ぎ。
殺す気か?としか思えん。『燃えよ』にのせての、5分39秒のドキュメント。号泣した。何かもう自分の身がもたん。浄化パワーが凄くて、こっちはへろへろっす。たすけて。
「わしは梅雨生まれなので、雨をも味方につけちゃうところがある。雨でさえちょっと好きにさせちゃう」
ポジティブ思考、極まれり。こっちが雨に泣きそうな気分でいた時も、風っちは遙か高みを見てたんだね。
「土砂降りの中でピアノが弾けるなんて自由」
雨の中のピアノこそ、自由の象徴だったんだ。そうだよね。不自由な世界に、身をもって示してくれた自由。最高だね。最高の、伝説を作ったね、チーム風。この伝説を上書きするのもチーム風しかいない。藤井風しかいない。
ドキュメントのオチ(笑)も、やっぱり風っちらしくて。泣き笑いっすよこっちは。
とりまここで。息を吹き返す時間を我に。