藤井風を語る真夜中

風という病に侵され…語らせたまえと願った。

ただの道具改め『いい楽器』

風っちのインタビュー【Billboard JAPAN】から『ただの道具』という言葉にフォーカスしたけれど、同じ意味の『いい楽器』こそ相応しいなと思い直し、タイトルを変えました。…何をやっとんじゃ?って感じですが、自分の気持ちの問題につき、ご容赦を。

 

昨夜から喧騒の中にあって、落ち着かないったらない。今日は今日でツアーグッズが告知されて、は? ミッチャムメモリアル付箋とは何事ぞ? とかもう頭が追いつかない。意味わからんでも買うんだろうな…何に使うというんだアレ?

調べたら、風っちのご実家の喫茶店『ミッチャム』が閉店されたんだね。そっか…昔の動画で慣れ親しんだあの喫茶店の空間、もう見ることは叶わないんだな。やっぱり寂しいな。でも閉店されたからこそのメモリアル付箋か。ご両親に感謝して、記念に持っていたいな。他のグッズも、売り切れにせんといてくれ!頼みます。

 

それから、“Free”Live の動画に、風っちがコメントしてると聞き、行ってみたらホントで。

『何なんw』の紹介で、『みんなの中のHEROみたいな「人」に捧げる曲、な。』と、一言だけ言い間違いがあったのを訂正するコメントだった。

クラップしながら、英語と日本語で交互に説明しながら、しかも疲労もピークのラスト曲。そりゃ言い間違いくらいあるさって感じで、視聴者全員が「うんうん、わかっとるよー」と思ってたはず。

それでも、丁寧にコメントまでして、正そうとする姿勢。もうコメント自体がかなり下にさがってるけど、風っちの気持ちの尊さと、みんなと同じ場所にいてくれることへの感謝は消えないから。ホントに誠実な風っち。ありがとうね!

 

今日のトドメに、Billboard JAPAN のインタビュー記事が。これまた誠実で虚飾の無い文章を書く、生武(いきたけ)まり子氏による記事。

何とまあ、美しいインタビューだろう。

生武氏の、愛と敬意のある質問。その場その相手によって、答える言葉を選ぶ風っちの柔軟性。ふたりのやり取り自体が、美しい音楽を奏でる。

発言は一貫しているのに、何ひとつブレていないのに、その時に応じた言い方を自在に選び取る風っち。本質的に詩人であり、そして芸術家。同じコトをしたくない、芸術的なサービス精神に満ちた人。

ふたりの人間性の融合によって、ちょっと珍しいくらい充実したインタビュー記事になっている。

 

記事の前半は国内外のエンタメ業界・ライブ産業の現状を書き、先の見通せない毎日で人々のメンタルがマイナスになる中、藤井風が支持を集めていると紹介。“Free”Live を総括し「雨で心のつっかえを流し、風に乗って自由になるーー」そんなライブだったと。その数日後、行われたインタビュー。

 

タイトルにあげた言葉に、俺は心臓を直撃された。風っちは自分のことを『ただの道具であって、降ってきた曲をシェアしているだけです。』と言ったのだ。卑下するような気持ちではなく、全くフラットで客観的な事実を述べるテンションで。(あくまで文面からの推測)

謙遜でもなく、本当にそう思っているんだね。

この言葉を引き出したのは「藤井さんから与えられてばかりですが、藤井さんは何を糧にされているのでしょうか?」という質問。凄いなぁ。これまで目にした中で、最も真摯な、風っちの魂にそのまま触れるような質問だと思う。

だからこそ、自分は道具だという言葉が、風っちの口から出た。道具であり、ツールであり、楽器なんだと。

風っちはきっと、そう思っているんだろうな…と想像していたことがカタチになった。インタビュー読んで泣く日が来るとは。どの答えも、あまりに清くて尊くて…感想を述べる語彙力なんか霧のように消え、ただただ風っちの美しさだけが残る。読み終わったら、俺ら小綺麗になってるはず。笑

最後の一文はこうだ。

『いい道具であり続けられる限りは精いっぱい、いい道具であろうと思います。この道具が錆びつかないようにお手入れしていこうと思っています。自分をアップデートして、いい楽器でいられるうちは、ずっと頑張りたいです。』

この音楽家の真情に、泣かずにおられるか。何と気高い魂。藤井風の立つ場所は、次元が違う。なのに、俺らにもわかるように、優しく、軽く、カッコよく、音楽という魔法で導いてくれる。俺らと同じ地平に舞い降りて来てくれたことを、誰に感謝すればいいんだろう…。

 

全文、必読だよ、風民なら。もう読んだ人も多いと思うけど、生涯かけて読むべき記事だと。何度も読んで、自分自身の血肉にしたい。藤井風という人を見失わないように、自分を律していかなくては。という気にさせてくれる、見事なインタビューだった。

 

あのスタジアムに降った雨と同じくらい、涙を流す呪いにかかってんじゃないの? と空恐ろしく思う今日この頃。むっちゃ涙もろくなった。風っちを知ってから初体験の連続。なんかもうボロボロw。泣きながら、こんなにも美しいものを見せてもらえる幸せに満たされる。

風っちはあくまで音楽を伝えてくれる、ひとりの青年。まるで弟か、隣の人懐っこい後輩。いつだって気持ちのいい、かわいいヤツ。だけど背中に羽を隠してる。隠して、もがいてる。あえて一緒に、もがいてくれる。それを、ありがたいなぁと思う。

 

風っちからのギフトは、どれもこれもきらり。Billboard JAPANのインタビューは、飛びっきりのきらり。生武さん、いい仕事をありがとう。