藤井風を語る真夜中

風という病に侵され…語らせたまえと願った。

岡山城東の合唱

藤井風デビュー2周年を祝う前夜祭に合わせたかのように、1月23日にYouTubeにアップされた、第33回岡山城東高校定期演奏会での合唱部『藤井風メドレー』のステージ。

風っちにとっても、何よりのお祝いになったのではないだろうか。

出演者・保護者・作曲者❣️(先生のツイートの絵文字のまま・笑)からOKが出ました、と報告した上で、我々にもシェアしてくださる森野啓司先生の気持ちがありがたい。

 

『旅路』『きらり』『帰ろう』……濁りのない歌声に胸が熱くなる。風っちが学んだ高校の、何と清々しい校風。真面目でひたむきで、朗らかで自由。

森野先生編曲の素晴らしいメドレー。先生と風っちの合作。卒業生として最高のギフトを、後輩達に贈った風っち。それを合唱曲に編曲し、演出を付け、生徒達の見事な晴れ舞台を作り上げた森野先生。これ以上ない、美しい共作。

 

舞台上に並ぶ生徒達、女子の衣装は下手(向かって左)から上手(右)へ、早朝から深夜までの時の流れを示すようでもあり。また春から冬への季節の移ろいを表すようでもあり。さらに誕生から帰っていくまでの人生を象徴しているようにも見える。

その流れの中央に、黒いピアノ、黒い衣装の指揮者・森野先生、同じく黒いベスト、黒パンツの男子。端正な美のある配置となっている。男女ともに白いシャツを着ていることが、学生らしい清新な空気を醸し出して、目に爽やかだ。

先生は「風」と背中に書かれた黒いTシャツに革パンツ。風を印象付けながらも、黒子のような姿で、生徒達の引き立て役に徹しているようだ。

 

ステージ上に飾られた、風っちが後輩に贈った言葉「色々あるけど みんな一緒に がんばろな〜」のボードが大きく映されて、メドレーが始まった。

さすがに城東の定演。カメラも複数用意され、変化に富んだ映像を見せてくれる。

 

『旅路』は、まさに高校生のための曲だなぁと思う。人生の少し先輩が、学生時代を振り返って歌う曲。きっと何年後か、みんなも同じ思いを抱くことだろう。君が今生きている、その瞬間の中に全てはあり、その瞬間が続いていく旅路の先に全てはある。「愛」としか言いようのない全てが。

途中、風っちが贈った言葉と同じ「色々あるけど」の部分で、互いに顔を見合わせる。「うんうん、色々あるよね〜」と共感し合うような演出がステキだ。

歌詞から浮かび上がる、風っちの眼差しの深さ。あらゆる人への慈しみが溢れている。故郷のように、我々を包んでくれる曲。

 

『きらり』は、アカペラで始まった。森野先生、凄いな。『旅路』を2番からの歌い出しにしたり、全てが観客の方を向いて作られている。フルサイズで当たり前に歌えばヨシ、にしないところは風っちと一緒。どうしたら観客を飽きさせず、最大のインパクトを届けられるかを考えて演出されたステージ。

ダンサーズが飛び出てきて、やっぱりこの曲は踊らなきゃ! 踊りたいと言った風っちが大正解だったことが、聴き込むほどに分かってきた一曲。

MVの白風のような衣装で踊るダンサーズ。合唱のみんなも踊り出す。先生!(泣)よくぞここまで…。頑張ったなぁ、みんな。

キラキラと踊り歌い切って、会場は大拍手!

 

『帰ろう』…この曲が合唱曲としていかに魅力的か、このステージで、森野先生は世界に示した。

紅白の曲目を考える中、NHK内部に『帰ろう』や『優しさ』を演っても良いんじゃないかという意見もあったと、ずっずさんが教えてくれた。

紅白の場かどうかは分からないけれど、いつか合唱部と風っちが共演する未来が見える気がする。

さまざまな声が響き合う合唱が、あのMVで集い、離れ、帰っていく人々と重なる。みんなのための『帰ろう』を、みんなと一緒に歌う。高校生の清らかな声が、風っちの深い声と溶け合う瞬間が、いつか必ず実現する。そう思わせてくれる演奏だった。

横並びの隊列から、前後に並びを変化させ、そう、帰っていく時はひとりだよ、誰かと並んでは行かれないと視覚にも理解させる。孤独だけれど、全てに満たされて帰っていく我々、ひとりひとり。

赤い風船🎈がゆっくりと天に昇り、孤独かと見えた我々は、みんなと同じ場所に帰る。再びみんなとひとつになる。

大きな何かと繋がる場所、それは宇宙そのものかも知れない、みんなが帰る場所。寂しくない、不足もない。与えられたものを、より多く返した人ほど、憎しみを自分から忘れた人ほど、豊かになって帰れる場所。

演奏が終わった、その静寂のまま、動画は終了する。おそらく沸き起こった拍手はカットされている。その静かな余韻までが、森野先生の心だ。

 

ピアノ伴奏も実に見事。さすが城東高校生!

全てが森野先生の指揮のもとに、最高の輝きを放っていた。

合唱用のマスクの下から、懸命に歌声を、魂を届けてくれたみんな。本当に素晴らしい歌をありがとうございました!

 

森野先生、藤井風という教え子を大切に思っておられることがよく分かります。リスペクトがなければ出来ないことを、先生は実現してくださった。

風ファンのひとりとして、心から心から、感謝申し上げます。

 

風っちの曲よ、どこまでも広がっていく曲達よ、多くの耳に多くの心に、感動と幸せを届けてくれてありがとう。

 

森野先生と風っちと後輩達に乾杯!!