藤井風を語る真夜中

風という病に侵され…語らせたまえと願った。

鬼退治

うちの殿様(今日は王様というより殿様)が「私を一番怖がらせるのは、外ではなく内側の悪魔です。結局自分の中の鬼が一番怖い。」なんぞと仰るものやから、鬼について考え続けて夜が明けた。

以下、簡単で恥ずかしいが、鬼に関する考察を。

鬼→👹 👺←こっちは鬼じゃなくて天狗、某漫画の影響により完全に善人イメージ!影響力とはオソロシキものなり。

しかし某漫画のおかげで、『鬼』というものが身近に、何となく具体的なイメージを持って存在するようになったのは確か。

少なくとも、「お前も鬼になれ!」と勧誘できるような存在であると、今の我々は『鬼』を認識している。ひとつ間違えば、自分も鬼になり得る…それを常識にするくらいのパワーある漫画・アニメ・映画が生まれた現代を、我々は生きている。

 

皆さま、昔『桃太郎侍』なるTV時代劇があったこと、ご存知でありましょうか。俺は全く視聴したことは無いけれど、高橋英樹さん主演で1976年から1981年まで放送された、人気シリーズだったらしい。40年以上前の作品なんだな…。

元々は原作の小説が人気で、様々な映画やドラマになり、決定打が高橋英樹主演ドラマだったと。

実はその主人公、名前は『桃太郎』なのだが、姓は『鬼退治』なのである。『鬼退治桃太郎』さんなのだ!!笑

桃太郎と言えば岡山県。うちの殿様とも因縁浅からぬ存在。日本各地に類似の桃太郎伝承はあったけど、何やかやあって(笑)岡山県に集約されたらしい。この辺の歴史や変遷、なかなか興味深いのだ。

 

桃太郎伝説における鬼とは何なのか。瀬戸内海に出没した海賊だとも、大和朝廷に敵対した外敵であったとも言われる。

当時の吉備(きび)の国、今の広島県東部から岡山県全域、香川県兵庫県の一部を平定した吉備津彦命(きびつひこのみこと)の話が元だとか、様々な説がある。

吉備が黍(きび)団子🍡に変じたのだとか、鬼は鬼門(北東の方角)からやって来る、だから鬼門の反対(裏鬼門・南西の方角)を意味する「サル、キジ(とり)、イヌ」という十二支(申、酉、戌)がお供にされたのだ、とか。

正確な裏鬼門は「未(ひつじ)」が入るんじゃあるまいかとも思うが、昔昔の日本にひつじはいなかったので、現実的な動物にしたのだろうな。

 

そんな『鬼』であるが、我が殿様は、自分の中に鬼がいる、と言う。マジか。藤井風って人のどこに鬼がおるん? 全っ然おらんじゃろう!と思わず叫びたくなるが、殿様は「誰の中にもおるよ」と思っておられる気がする。

気楽に「鬼は外〜福は内〜」と豆まきしてヨシとするのではなく、本当に退治すべき鬼は、どこにおるん? よう考えてな。と言ってくれているようだ。

ちゃんと見つけないけんよ、ほら鬼はどこにおるん?と。あーー怖い怖い!(泣)

 

自分の中に鬼がいること、それは何か不快なものが自分に近づいてくる現実が教えてくれる。

あの上司に嫌なことされた、あの同僚に足を引っ張られた、家族が迷惑をかける、あれが不満だ、あいつが憎い、何もかもキライだ…そんな気持ちを抱く時、それら “イヤなこと” や “不快な感情” は、自分の中の鬼に呼ばれて、己れの中に入ってくる。と、俺は思う。

自分の鬼が小さく、おとなしくしていれば、悪鬼のごとき感情に支配されることは無い。

自分の鬼が大きく、エサを歓迎する元気者なら、嬉々として悪鬼を迎え入れるだろう。そして鬼は肥え太っていく。

自分の中の鬼を育てるな。エサをやらず、小さく小さく枯れていくようにするんやで。

 

少しばかり厳しい表情で、鬼退治しような、と呼びかけてくれる我が殿様。

節分の日に、大切なことを教えてくれた。

 

2月4日、立春。この日が冬季オリンピック北京大会の開幕となった。開会式でのカウントダウンを『二十四節気』で行うという、中国らしさを生かした演出。一年が立春の日から始まる中国の暦を生かした構成になっていた。

その立春の前日が節分。以前は四季を分ける日として、立春立夏立秋立冬それぞれの前日を節分と呼んでいた。しかし今は節分と言えば立春の前日のみを指す。ちなみに、春を迎える前日であり、冬の終わりを意味するので、俳句では「節分」は晩冬の季語となっている。

 

立春を迎え、ここから新たな一年がスタートする。日本でも旧暦の世界はそうだった。

いにしえの日本を思いながら、鬼がそこかしこにいて、鬼退治が繰り返された日々を思いながら。いやいや、現代も何ら変わらないと気を引き締めて。

自分の中の鬼退治を忘れない日にしたいと思う。

 

鬼のお面👹を取ったら変顔🤪してんじゃないかな、と思わせて真面目顔の殿様。

それが一番ビックリだよ(笑)、ビックリして鬼が逃げて行くようにしてくれたんだね、優しい殿様。

今日もありがたき、風の国である。