藤井風を語る真夜中

風という病に侵され…語らせたまえと願った。

“Free”Live2021①

以下、完全ネタバレにて書いております。

 

まさかの「LIVE見損ねた」という方は、YouTubeアーカイブが上がっているので、即行くべし!こんなの読んでる場合じゃない。

もうね、最高です。藤井風は丸腰の武士。誰より強い剣豪だけど、人を倒すのではなく、癒やそうとする武士なので丸腰なんである。じゃ何で誰より強いかと言うと、腹の中に真剣を呑んでいるから。その真剣で世界に挑んでいるから。

『“Free”Live2021 日産スタジアム』は、体内の真剣を恃(たの)みに身ひとつで世界を切り開く武士の、まさに真剣勝負を見たという時間であった。

柔らかな雨が瞬間的には強い雨になり、やがて止んでいく、そのさまを背景に、丸腰以上に軽やかな風体で風っちは闘った。見えない剣を振るい、世の人を苦しめる孤独や足枷や心の檻を切り裂きたいと。本気だった。本気の一本勝負。

若くしなやかな武士が、何かでっかいものに誓いを立てた。人を幸せにするために生きると。その誓いを果たす一歩として、今日、この闘いに挑んだのだ。それを目撃できた18万人のうちの1人であることを誇りに思う。

 

と、大層な書き出しになったが、引かないでくれ。それくらい風っち、本気だった。いつもの柔らかい佇まいに、凛とした魂が剥き出しに輝いていた。だから限りなく美しかった。

このLIVE、名付けるなら『若さじゃ若さLIVE』

いやマジで、藤井風24歳の、若さ、荒々しさ、純粋さが爆発したLIVEだったと思う。少年の声で歌ってる?と思う瞬間が何度もあった。

 

当日のセトリを(備忘録として)書いておく。

1. 夏の香り(マジかよ笑) 2. きらり 3. Heal The World   4. 燃えよ 5. もうええわ 6. 優しさ 7. 特にない 8. 死ぬのがいいわ 9. 帰ろう 10. 青春病 11. 旅路 12. 何なんw 

 

広い広い日産スタジアムの空間が、藤井風の歌声に満たされ、スタジアムが喜んでキラッキラに輝いていた。音符が雨になって降ってるのかと思ったよ。

エムスラさんによるクリーンな音で耳に届く、圧巻の歌唱力。これ、りょんりょん先生にも感謝だな。確実に歌唱力がアップしていたし、表現の自由度も増していた。

ステージづくりのシステムは、扇のようだ。扇の要にずっずさんがいる。扇のホネの一本一本が、音響であり、ボイトレの師匠であり、映像チームであり、配信チームであり、ピアノ担当であり…その全てを束ねる要がずっずさん、その横にコバさん。扇の上を自由自在に動きながら、美しい模様を描いていくのが風っち。その扇であおがれて、“風”を感じるのが俺たち。風に嫌なものを流してもらい、自由な呼吸を取り戻す俺たち。

俺がどんなふうに風を感じたか、セトリに沿って記録しておこうと思う。

 

1. 『夏の香り

2. 『きらり』

モノクロの画面に、ピアノの音が流れ始める。お、罪の香り? でも何だか明るいな? 後で分かったけれど、これは幻の『夏の香り』だった。この夏のすべてを込めて、この曲を選んでくれたのかな。『罪の香り』のダークな臙脂色が若草色に変身したよう。爽やかなメロディが、そのまま『きらり』へと繋がっていく。

初っ端から『きらり』。最近ファンになった人へも親切だよね。バラードではない、このままで歌い切るんだな、この難しい歌をピアノ弾きながら。この時点で風っちの挑戦と自信を感じ、身が引き締まる。

間奏からの盛り上がりに合わせてタイトルが出、画面はカラーに。この辺り、ダチオ監督にハズレなしのカッコよさ。一気に世界が華やぎ、今日は日産の座席が河津ブルーなんだ、と目に刺さる。

想像以上にシンプルな配置。芝生の上、ピアノと風っちだけ。近くにあるのは手元や顔を映す固定カメラが3台。配線も見事に1本にまとめて。仕事が美しい。小雨の中、ピアノが…濡れてるピアノって、この世にあり得る現実なのか? ここはどこのピアノの森? と混乱しつつ。YAMAHAが提供してくれたのか、おおお!と思うようなフルコンが。ウソだろ、濡らしていいのかコレ。YAMAHAの覚悟に泣く。ここにも本気のツワモノがいた。

笑顔で歌う風っち。ピアノの音も最高に粒立って、ああ、とんでもないLIVEになりそうと胸が沸き立つ。

ところどころ綻びたり穴の開いた白いTシャツ。柔らかそうなジーンズ。素足にビーサン。いつも通りの、普段着の風っち。

より伸びやかな歌声になってる!と、心でりょんりょん先生に手を合わせていると、盛大なブレイクをかましたーー!あはは、もうたまらん。ヤル気やで!うかうかしてたらヤバイぞ今日は。

歌い終えて、ハンドマイクを手に、まず英語、そして日本語で挨拶。俺らを「babe」と呼んだぜ。今日は皆、この世界の5歳児wとして、自由に遊んでいいんだと教えてくれる。

この広いスタジアムで、ひとりきりでライブしている現実を「crazyでcringe(どうかしてるぜ!ドン引きだよな!)」と言いながら「これがありのままの現状」だと、厳しい顔で。コロナ禍のみんなの苦しみを、その目に浮かべて。それでも「激レアな機会をいただけていると、めちゃくちゃ感謝している。めっちゃ恵まれている。ありがとうございます」と。

俺は正直、雨が降るならスタジオに場所替えしてもいいのにな…と思ってた。愚か者め。

チーム風は、この空間を体感させたかったんだよ我々に。今日の、世界の現実。それぞれが抱える現実。容赦ないその現実を見せた上で、だからこそ希望を、自由を、呼吸させてくれようとした。無観客だろうと雨だろうと、あのスタジアムの空間が必要だった。

芝生の上を自由に走り回る幻影の向こうに生まれる希望が、観客には必要なんだと。我々のために、チーム風は、あり得ないほどの度量で、あり得ないほどの努力で、この時間を実現してくれたんだ。

 

長いよ…。すんません。

とりま一旦投稿するね。脳みそが沸騰してるうちに書き終わりたい!